HFDM
Helicopter Flight Data Monitoring
HFDMのはじまり
史上初のトライアル
1998年、FDMをヘリコプタに適用できるかどうかを調べるため、CAAとShell Aircraft社とトライアルを実施した。トライアルには、Bristow Helicopter(BHL)社が運航する、5機のAS332Lヘリコプタが用いられた。2年間のトライアルフェーズを経て、CAAはその成果を「CAA Paper 2002/02 – ‘Final Report on the Helicopter Operations Monitoring Programme (HOMP)」に纏めて公開した。
2度目のトライアル
1stトライアルの成功の後、BHL社のSikorsky S-76とCHC社の2機のAS332Lを用いて、2度目のトライアルが行われた。2003年3月から6ヶ月運用し、その成果は、「CAA Paper 2004/12 – ‘Final Report on the Follow‑on‑Activities to the HOMP trial」として公開された。
トライアルの成果は?
レポートでは、異なる型式のヘリコプタ、オペレータにFDMを適用した場合でも、オペレーションの問題を特定できたことを結論付けている。レポートは、今後もHOMPの手法を継続的に開発して改良し続けることを奨励している。本トライアルの結果を踏まえて、オイル&ガス業界においてはFDMプログラム必要とされるようになり、契約時の要件としても求められるようになった。
HFDMに係る規制
- EUおよび日本において、FDRに関する要求事項は存在するものの、HFDMそのものを取り締る法的規制(Hard Law)は、2020年現在では存在しない。
オフショアオペレーションへの奨励事項
- 2013年6月、EASAが、オフショアの航空運送事業者(Commercial Air Transport offshore helicopter operations)向けに“Notice of Proposed Amendment (NPA) 2013-10”を発行した。本通知では、FDRの装備が要求されているヘリコプタに対して、FDMプログラムを2~3年以内に実施することを提言した。
- 2014年、航空業界の合意のもと、EASAは“Comment Response Document (CRD) 2013-10”を公表し、FDMプログラムの3年以内の実施期限が設定された。
- 2015年5月、EASAは、オフショアオの航空運送事業者に対するHFDMプログラムの要求を合意し、2019年1月より発効された。
HUMSとの違い
機体のデータを活用する取り組みとして、HUMS (Health and Usage Monitoring System)があるが、以下のような違いがある。
FDM | HUMS | |
---|---|---|
目的 | 運航の安全性 | 機材の健康状態 |
メインユーザー | SMSマネージャー、パイロット | 整備 |
対象データ | 全ての運航データ | 全ての機材データ(振動データがメイン) |
FDM Program の一覧
略称 | 名称 | 組織 |
---|---|---|
FOQA | Flight Operational Quality Assurance | FAA |
FDA | Flight Data Analysis | ICAO |
HFDM | Helicopter Flight Data Monitoring | CHC, Cougar, Arkansas Children's Hospital |
HOMP | Helicopter Operations Monitoring Program | Bristow |
LAMP | Line Activity Monitoring Program | PHI |
MFOQA | Military Flight Operational Quality Assurance | US Air Force |